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地域紛争

世界には約260の河川系があり、国境をまたぐものも存在する。ヘルシンキ規則は水資源の利用権を国際的にどう解釈するかの一助となるが、問題が基本的な生存問題に絡んだ深刻なものである場合、係争が起きることもある。こういったケースでは、他に端を発する国境問題と緊張関係があった上で、付加的に水資源をめぐって争われることが多い。

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チグリス=ユーフラテス河川系は複数の国に利用されている水源であるが、その利用権をめぐって争われている一例である。イラン、イラク、シリアの各国がこの水源の利用を合法に主張しているが、その総要求量は河川系の物理的な水量を上回ってしまっている。1974年初頭、イラクは、ユーフラテス川に設置されたシリアのアッサウラダムを破壊するため、国境地帯に軍隊を集結させるという示威行為を行っている。

また、1992年にはハンガリーとチェコスロバキアがドナウ川の水の利用とダムの設置をめぐって対立し、国際司法裁判所の裁定にゆだねられた。この係争は、正論と法理が解決の道筋となりえた少数例である。北朝鮮と韓国、イスラエルとパレスチナ、エジプトとエチオピアなどの対立は、調整がさらに難航したケースといえるかもしれない。今後問題になりうるケースとしては、メコン川において中国がメコン川上流に建設しているシャオワン(小湾)ダムが流砂を止めるためにメコン・デルタや沿岸農地が縮小されるのではないかという懸念が流域諸国で構成される「メコン川委員会」で問題になっており、対応を誤ると新たなアジアの不安要因になりかねないという指摘もある。

仮想水貿易
ミネラルウォーターなどの特殊な例を除き、通常、水は貿易の対象とならない。しかし、多くの貿易品の生産に水が必要となることを考えると、商品の移動に伴い、その生産に必要とされた水が仮想水という形で取引されているとみなすことができる。特に、生産に大量の水が必要となる農産物と木材資源は、仮想水貿易を考える上でもっとも重要である。

水資源が不足する国々にとって、仮想水の輸入は水を確保するための選択肢の一つである。中東やアフリカの諸国は、農産物の輸入を通じ、国内で不足しがちな水資源を仮想水の輸入で補っている。しかしながら、仮想水の輸入には食料自給率の低下をもたらすという側面がある。農業技術が高度に発展したアメリカ合衆国やヨーロッパ連合国から輸出される農作物は世界のシェアの60%にも達する。その量と価格の低さは、乏しい水に頼って生産される輸入国側の国内産品が太刀打ちできるものではなく、国内農業の破綻による自給力の低下や失業問題を作り出す原因にもなりうる。

一方輸出国側は、仮想水の輸出によって国内の水資源を消耗させている。アメリカ合衆国が農産物の輸出に伴って国外に放出している仮想水は、国内の年間総使用水量の1/15にあたる。米の主要輸出国であるタイにおいては、1/4に達する。これらの国々にしても無尽蔵の水資源を有するわけではなく、一部の地域では地下水の枯渇や河川の断流が起こりつつある。仮想水の輸入大国であるスリランカや日本では、食料自給率の低さもあり、世界的な水の危機が食糧危機となって顕在化する恐れがある。

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2009年04月27日 07:57に投稿されたエントリーのページです。

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